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ヘスペリジンの歴史
 ヘスペリジンの研究は、抗壊血病因子として知られるビタミンCの研究と一緒に幕を開けました。一連の研究を行ったのは、ハンガリーの生化学者セント=ジェルジ・アルベルト博士です。セント=ジェルジ博士は、1932年にL-アスコルビン酸が欠乏すると壊血病を発症することを突き止め、この物質をビタミンCと命名しました。さらに1936年には、レモン果実中に毛細血管を強化してビタミンCの抗壊血病作用を補助する物質が存在することを発見しました。この物質がヘスペリジンです。ヘスペリジンは毛細血管を強化し、血管透過性の亢進を抑える機能を持つことから、博士は、透過性を意味する「Permeability」の頭文字Pをとって「ビタミンP」と命名しました。これらのビタミンCに関連する研究の功績により、セント=ジェルジ博士は、1937年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
 その後、ヘスペリジンは、欠乏症が明らかにされていないために「ビタミン」から外されましたが、有用な生理機能が報告されるようになり、ビタミン様物質として位置付けられました。ヘスペリジンの生理機能に関する研究は、漢方薬の原料である陳皮(チンピ)の薬理研究を起源にして発展しました。陳皮は、ウンシュウミカンの果皮を乾燥したもので、その有効成分の一つはヘスペリジンです。陳皮の薬効検討を通じて、本成分の多様な生理機能が明らかになったのです。これにより、ヘスペリジンは、漢方医薬にとどまらず、食品や化粧品の分野でも注目を集めるようになりました。しかしながら、水溶性が低く、産業利用が進みませんでした。
 ヘスペリジンの産業利用に革新をもたらしたのは、糖転移技術でした。Miyakeらは、酵素による糖転移技術を利用して、ヘスペリジンにブドウ糖を結合させた糖転移ヘスペリジンを創製することに成功しました1)。糖転移ヘスペリジンは、水に対する溶解度がヘスペリジンの10万倍向上しています2)。さらには、小腸や皮膚に存在する酵素α-グルコシダーゼの作用で結合したブドウ糖が外れ、遊離したヘスペリジンがその生理機能を発揮することが明らかにされています2)。これらの特性から、糖転移ヘスペリジンは、水溶性ヘスペリジンとして食品および化粧品分野で広く活用されるようになりました。とりわけ、2012年に特定保健用食品の関与成分(効能:血中中性脂肪低下)として認可されて以降、食品分野での用途拡大が急速に進みました。
 さらに、糖転移ヘスペリジンを用いることでヘスペリジンの機能研究が飛躍的に進展しました。糖転移ヘスペリジンの摂取により体内でヘスペリジンとして機能し、血圧低下作用、血流改善作用、冷え改善作用、むくみ改善作用などの有用な効果を示すことが多くの研究で明らかにされました。現在、これらの研究成果に基づき、糖転移ヘスペリジンはさまざまな機能性表示食品に配合されるようになり、その重要性は今後ますます高まるものと期待されます。

文責:三皷 仁志(ナガセヴィータ(株))

参考文献
  1. 1) Hijiya H, Miyake T : Alpha-glycosyl hesperidin, and its preparation and uses. European Patent Publication : No. 0402049, 1991
  2. 2) Yamada M, Tanabe F, Arai N et al : Bioavailability of Glucosyl Hesperidin in Rats. Biosci Biotechnol Biochem, 70 (6) : 1386-1394, 2006
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